【若手職員向け】市役所における税務課の業務内容や役割をわかりやすく解説!【公務員】

公務員の仕事

地方自治体の財源を確保する部署…それが税務課です。

市区町村役場の役割といえば、「住民サービス」「観光や商工振興」「インフラ整備」などとクリエイティブなものばかりと考えてはいませんか?

税務課って

企画系と比べて地味だよな

ちょっと堅苦しさはあるけど

地方自治の根幹は「税」だよ

行政サービスにかかるお金は、税などの財源を基に支出されますから、全公務員に知っておいて欲しいものです。

【この記事を読むと】
・税務の基礎がわかる
・税務職員の仕事内容が知れる

新規採用時から課税担当してる

僕がきちんと説明するよ!

行政サービスを提供する一員として、その住民側から徴収する「税」について知っておきましょう!

租税体系をおさえよう

国税と地方税

税金には国税と地方税(都道府県税と市町村税)があり、またそれぞれ普通税と目的税にわかれます。

普通税:使い道が特定されず、一般経費に充てられる税。
目的税:使い道が特定され、特定の経費に充てられる税。
租税の種類は地方自治体にもよりますが、約50種類あり、かなりたくさんある印象ですね。
実は、諸外国ではポテトチップス税(ハンガリー)、脂肪税(デンマーク)などユニークな税金もあります。酒税やたばこ税のように、消費抑制や健康増進のために税が利用されるケースは珍しくありません。

課税される主体

「税金がかかる」といっても、何に対してかかる税金なのかは、税目によって異なります。

  • 所得課税
  • 資産課税
  • 消費課税

主に上記の3つにわけられます。

所得課税:稼いだお金に対して課税
【例】所得税/法人税(国税)、住民税/事業税(地方税)
資産課税:所有している資産に対して課税
【例】相続税/贈与税(国税)、固定資産税/事業所税(地方税)
消費課税:消費したモノに対して課税
【例】消費税/たばこ税(国税)、自動車税/入湯税(地方税)

市町村の税務課が担う税目

たくさんの種類がある租税の中で、市町村税は一部に絞られます。また、その中でも市町村が実務を担っている税目は意外と少ないものです。

  • 住民税(個人/法人)
  • 固定資産税
  • 軽自動車税(種別割)
  • 市町村たばこ税
  • 入湯税

主には上記の5つが挙げられます。

ただし、国民健康保険を保険料ではなく、「税」に規定している自治体はこれを加えてください。

住民税/固定資産税
税収に占める割合がとても大きく、重要な財源となります。納税義務者からの納付も通年にわたっており、1年間を通じて業務スケジュールが組まれています。
軽自動車税(種別割)
税収に占める割合はそれほど高くはありません。それなのに業務量が多いため悩ましい業務です。年に1度の納付のために通年で業務にあたります。
たばこ税/入湯税
税収として大きくなく、業務も比較的簡易なものです。事業者が毎月の売り渡しを申告し、納付してくれるため、職員が計算をしたり、納付書を発送したりする事務はありません。
市町村の税収における個人住民税の割合は約3割固定資産税は約5割を占めており、根幹であると言えます。

課税担当と徴税担当がいる

税務課って同じ組織なのに

役割で担当がわかれるのか?

徴収担当は行政サービスの中でも

特異な役割を担っているんだよ

税務部署の職員は、税金をかける課税(賦課)担当と、納付させる徴収(収税)担当にわかれます。

税金をかければすべて年度内に納付されるわけではありません。「税金をかけるまで」と「税金をかけた後」で担当が違うんです。

課税担当の業務

  • 税申告の収受
  • 納税通知書の発送
  • 実態調査
  • 異動届の収受

課税事務をざっくり言うと、税金をかけて納付書を送付するまでがメインです。

1.税申告の受付

個人住民税は確定申告や住民税申告によって決定しますし、軽自動車(種別割)申告があれば、これに基づいて納税義務者や税額を決定します。償却資産なども同様ですね。

2.納税通知書の発送

決定した税額を通知します。通常は納期限までに納付が済めばおしまいですが、そう簡単には終わりません。「なぜこんなに税額が高いの?」「引っ越したのに納めないといけないの?」などの問い合わせが、一斉にありますからね。

3.実態調査

課税の適正化を図るために、実態調査をしなければなりません。。個人住民税であれば扶養重複や未申告所得の調査、軽自動車税であれば未申告車両の調査、固定資産税であれば土地・家屋の評価などがこれにあたります。

4.異動届の受付

これは、個人住民税特別徴収(給与引き)にともなうものです。給与所得者の個人住民税は通常、特別徴収(給与引き)によって事業所がまとめて納付します。退職や休職があった場合には、普通徴収(納付書払い)に変更する必要がありますから、この異動届に基づいて、納税義務者に対して変更通知書を発送するんです。

徴収担当の業務

  • 督促状/催告書の発送
  • 財産の差し押さえ
  • 実態調査

徴収事務は、納税義務者の財産から強制的に徴収する(滞納処分)場合もあるため、債権が無効化しないように一連の作業を法的根拠に基づいて行う必要があります。

1.督促状/催告書の発送

督促状は、納期限後20日以内に発送しなければなりません。「はやく納付してね」と知らせるだけでなく、租税債権の時効を中断させる効果もあります。

2.財産の差し押さえ

督促状を発送した日から起算して10日を経過しても納付されない場合には、滞納者の財産を差し押さえしなければなりません。単独で金融機関の預貯金口座や、給与の一部を差し押さえることもありますが、資産を競売にかけ、その代金を他の執行機関と分配する(参加差押)こともあります。

3.実態調査

また、滞納したままどこかへ逃げてしまうことも少なくはありません。他自治体に転居していないか、どこかに就職していないか、死亡した場合は相続人はいないか、などの調査をします。

リアルな仕事の流れ

税務課の業務として、代表的な2つの係のオシゴトを紹介します。

個人住民税係のオシゴト

僕は入庁してすぐに

個人住民税係に配属されたよ

個人住民税
1月1日現在、住所を有する人や、事務所・家屋敷を有する人が納める税金。

内訳が2つあります。

  • 均等割
  • 所得割

ざっと説明すると、均等割は条例による非課税対象を除く住民に対し、一律の税額を課すもの。所得割は課税所得額に応じて税額を課すもの。

2つもあると業務が複雑では…?!と思われるかもしれませんが、どちらの税額も個人の所得情報によって決定しますから、業務をわける必要はありません。

 

では、オシゴトの内容に話を移しますと

繁忙期と閑散期がはっきりしているのが、個人住民税です。

1~6月に賦課業務が集中しますからね。

【賦課期】
1月:給与支払報告書の収受
2月:確定申告/住民税申告の収受
3月:確定申告/住民税申告の収受
4月:課税資料の追加
5月:税額決定
6月:納税通知書の発送
【異動期】
7~12月:給与所得者の納付方法変更、税額変更、未申告調査など
もう少し具体的に説明すると…
上記のとおり年明けから忙しくなります。
1月:給与支払報告書の収受
地方税法の規定により、事業主(給与支払者)は、給与を支払ったすべての人について、1月末までにこれを報告しなければなりません。
電子報告も可能ですが、紙で提出される事業主もまだまだたくさんいるため、これを個人の収入に反映させる作業が大変…(入力作業は外部委託します)。不備のある報告書(個人のマイナンバーや生年月日が未記載、他市町村の人が紛れている)も多く、その処理にも時間を要します。
【給与支払報告書等の提出】地方税法第317条の6(e-Gov法令検索
2~3月:確定申告や住民税申告の収受
給与支払報告書の収受をしつつ、確定申告や住民税申告の準備をはじめます。申告案内を郵送で通知したり、広報したり、事前相談を行ったり…そうして2月16日~3月15日の申告期間を迎えます。給与や年金収入については地方税法の規定により市役所も把握していますが、その他の所得や控除については、自己申告してもらなわければなりません。
【市町村民税の申告等】地方税法第317条の2(e-Gov法令検索
さらに、これと同時進行で、1月末まで受付していた給与支払報告書の回送もしていきます。他市町村に転居してしまった人の給与情報を、自治体間でお互いにやりとりするわけですね。
4~6月:税額決定と納税通知書の発送
確定申告や住民税申告、そのほかの法定資料(給与支払報告書など)によって得た所得情報を基に、税額を決定していきます。が、すべてが申告のとおり税額決定するわけではありません。
要件を満たさない配偶者控除や寡夫控除などを否認したり、申告漏れがないか確認したり、そうやって適正化を図りながら税額を決定していきます。個人住民税は申告納税ではなく、市町村長が通知するものですからね。正しく課税しなければなりません。
そうやって、ようやく6月に納税通知書を発送します(納期限の10日前までに交付しなければなりません)。ちなみに、市町村民税だけではなく、都道府県民税も一緒に徴収しなければなりません。都道府県民税分は、市町村が都道府県に対して支払って完了します。
6月までに税額を決定しなければならないのが、個人住民税係におけるオシゴトの肝!
【個人住民税の賦課徴収】地方税法第41条(e-Gov法令検索
これ以降は、住民からの問い合わせや対応したり、税務署と連携して所得額の更生をしたり、未申告者の調査などをしながら、閑散期に移っていきます。

固定資産税係のオシゴト

僕は担当したことないから

書籍を参考にして書いてみたよ

【参考書籍】税務課のシゴト(編著:地方税事務研究会)
固定資産税
1月1日現在、土地・家屋・償却資産を所有している人が納める税金。
※都市計画税を合わせて課税する自治体もあります

内訳が3つあります。

  • 土地
  • 家屋
  • 償却資産

土地家屋は登記簿・補充課税台帳に登記(登録)のあるもの、償却資産は償却資産課税台帳に登録があるものを指します。

それぞれ評価額に応じて課税しますから、担当をわけるのが一般的でしょう。

 

では、オシゴトの内容に話を移しますと
個人住民税と同様に、賦課期がとても忙しくなります。

税額決定をするだけではなく、住民側も縦覧帳簿の縦覧(その評価額が正当なものかの確認)や、不服の申し立てができるため、これに応じる業務もあるんですよ。

【賦課期】
1月:償却資産申告の収受
2月:税額決定に係る業務
3月:税額決定に係る業務
4月:納税通知書の発送、縦覧帳簿の縦覧
5月:審査申出の受付
6月:審査委員会開催
【通年】
1~12月:実地調査(新増築、評価見直し)など
1.納税通知書の発送・縦覧事務
納税通知書により、課税対象となる固定資産について、その明細(所在・地積・価格等)を記載した課税明細書と納税通知書を、納期限の10日前までに送付しなければなりません。
【固定資産税の徴収の方法等】地方税法第364条(e-Gov法令検索
また、納税通知書の発送とともにはじまるのが、縦覧事務です。課税にあたっては、資産の状況やその価格等を明らかにするために、固定資産課税台帳を備え付けることとされています。この内容を納税義務者が確認することができるのです。
【土地価格等縦覧帳簿及び家屋価格等縦覧帳簿の縦覧】地方税法第416条(e-Gov法令検索
縦覧した結果、不服がある場合には、納税通知を受けた日から3ヶ月までに、固定資産評価審査委員会に審査の申し立てをすることができます。市町村としては、弁明書の作成などもする必要がありますね。
2.固定資産(土地・家屋・償却資産)の評価
土地・家屋・償却資産の評価は、固定資産評価基準に基づいて行います。土地・家屋の課税基準は、3年ごとの賦課期日(1月1日)における適正な時価とされます。
【土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準】地方税法第349条(e-Gov法令検索
本来、毎年度評価替えをすべきですが、調査が膨大な業務となり現実的ではありません。実務では3年間据え置くのが一般的です。
3.土地の評価/調査
土地の評価は、売買実例価額を基礎として、地目別(宅地・田・畑・山林・雑種地等)に定められた評価方法により評価します。
課税対象の土地は、そのすべてについて、毎年1回は調査しなければならないとされていますが、実務上はそうはいきません。5年間は評価額や税額変更などができるため、これを考慮して計画的に実施するのが一般的です。
【固定資産の実地調査】地方税法第408条(e-Gov法令検索
4.家屋の評価/調査
家屋の評価は、再建築価格(もう一度同じ家屋を新築した場合にかかる建築費)を基礎として、経過年数に応じた減価率を乗じて計算します。
その年に新築された家屋について、翌年度に課税するための調査(新増築家屋調査)と、調査済の家屋について、その後の増築や滅失などによる異動状況の調査(在来家屋調査)の2つを実施します。調査のときには納税義務者の家屋に立ち入るわけですから、必ず徴税吏員証を携帯し、不信感を与えないように注意しなければなりません。
【徴税吏員等の固定資産税に関する調査に係る質問検査権】地方税法第353条(e-Gov法令検索
5.償却資産の申告
償却資産の評価は、土地や家屋とは異なり、比較的急速に時間の経過とともに価値が減少していきます。これに即した課税をするため、毎年度評価をして課税標準を決定しています。
事業の用に供している機械・器具・備品(たとえば煙突、車両、工具、机)などが償却資産にあたり、納税義務者はこれらの取得価格や取得時期などを1月31日までに申告しなければなりません。
【固定資産の申告】地方税法第383条(e-Gov法令検索
土地や家屋のように登記制度がないため、どのように申告を求めるかが、市町村にとっての課題ではないでしょうか。

税務職員の心構え

税金をかけるって

住民から嫌われるだろうね

クレームも多いよ!
だから自分を守る術が必要さ

法務があってこその税務

税金を「住民サービスの対価」と理解している人は多くはありません。

多くの住民にとっては、負担を強いられる不都合なものです。

しかし「払いたくない」と駄々をこねる人に対しても、税務を行使する必要があります。その強制力となるのが法務です。

地方税法や条例に基づいて、納税義務者に申告させ、税額を決定し、納税させるのです。

税の負担は公平でなければなりません。「納付する人」「滞納する人」に不平等が生じないように、法務を身に付けて税務にあたりましょう。

個人情報の取り扱いについて

税務課では住民の「所得」「資産」などの、重大な情報を取り扱っています。

ここで気を付けたいのが個人情報の流出です。絶対にあってはいけません!

毎日のように他市区町村や税務署、また警察署に至るまで、様々な機関から「教えて欲しい」と照会文書が届きます。もちろん、多くの場合は回答しますよ。法的根拠がありますからね。

しかし、稀に法的根拠の記載がない照会文記載された法的根拠に合致しない照会が紛れ込んでいます。適当な事務をしている自治体が悪いのは当然ですが、もしもこれに回答して問題が起きれば、責任はあなたにも生じます。

大切な個人情報を取り扱っているわけですから、本当に気を付けてください。

【おまけ】税情報は他部署でも活用される

行政サービス

地方税情報(所得・資産の状況)は、様々な行政サービスに活用されています。

  • 国民健康保険料の算定
  • 公営住宅の入居審査
  • 予防接種などの助成制度
  • 生活保護の要件
  • 低所得者支援の政策 など

こういった行政サービスを適正に実施するためには、地方税情報は欠かすことはできません。

地方自治体には「富の再分配」の役割がありますから、低所得者を支援するために、その所得や資産情報を把握する必要があるわけです。

ですから、課税に誤りがあっては大変。税務部署内だけでなく、他部署にも多大な影響が及びかねません。

間違いが起きないように、わからないことは相談したり、二重チェックをしたりと、対策をしたいですね。

予算編成
行政サービスに活用される以前に、「歳入(税収)」を計画する上でも重要です。
  • 現年度の税収は最終的にいくらか
  • 次年度に見込まれる税収はいくらか

財政系の部署とのやりとりがあります。

行政サービスを継続していくためには、多くのお金が必要ですから、予算計画を練らなければなりません。

「現年度がいくらの税収か?」ってのは、実際の税収を累計していけば算出できますが、「次年度はいくらの税収化か?」ってのは、いろんなデータを用いて計算しなければならず、わりと難しいです。

もしも計画と大きく乖離してしまったときは…??

まぁその話は現場でお聞きください(笑)

最後に

税務部署は自治体の中でも、大変な業務を担う部署です。

それは賦課期日(個人住民税や固定資産税は1月1日)から賦課業務がはじまり、期日までに納税通知書を発送しなければならない多忙さが、理由のひとつ。

また、もうひとつは、住民と直接やりとりをすることが多いためです。

「課税」「徴税」という仕事は、住民にとっては嬉しいものではありません。それゆえに苦情も多く寄せられます。多忙な業務をこなしているのに、それを住民側から褒められることは少なく、やりがいを失うこともあるでしょう。

しかし、住民サービスを継続的に行うための、歳入を支える仕事であることを忘れてはいけません。きっと、そこにやりがいはあります。

この記事が皆様の役に立つと嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。